まえばし空襲とトメ子さん
民生委員さんである峯岸隆臣さんからこんなお話を伺ったことがきっかけでした。
「地域にね、すごく勇気のある女性がいたんですよ。
もともとこのお話はずっと秘密にされていたようなんですけどね。
彼女の物語を紙芝居にして後世に伝えたいんです。りぼんで作ってくれませんか?」
2020年、戦後75年の節目の年を迎えます。
戦争の記憶を風化させないため、地域で実際に住んでいた偉人の記録を
忘れないようにするためにも、作品作りをしてみようと思い立ちました。
戦争って何でするんでしょう?
トメ子さんのすごいところはどこなんでしょう?
70年もの間、秘密にされていた理由はなんででしょうか?
私達が今のような便利な生活を送れているのはどうしてなんでしょう?
お話はいろいろなことを現代に暮らす私たちに投げかけてきます。
紙芝居づくり
当初は水彩絵具と画用紙を使って紙芝居を作っていきました。
ところが、どうもうまくいきません。
りぼんには、物の見え方に特性がある子や、力加減の調整が苦手な子や、絵を描くことが嫌いな子もいます。得意・不得意があったり、好き・嫌いがあったり、心に余裕のある時とない時があるのは誰でも当たり前にあること。
どんなふうに工夫したら作品を皆で作れるだろう、と試行錯誤しました。
そこで、水彩画から貼り絵での作品作りに切りかえます。
紙芝居のデジタル化
2ヶ月程かけて貼り絵の紙芝居を作り上げました。
紙芝居の完成品を峯岸さんにお渡し、次に取り組んだのがこのデジタル絵本です。これも、1ページ1ページ、時間をかけて作っています。
このような形であれば、群馬県以外に住む子も読めます。
外国に住んでいる子も読めます。日本語を学んでいる人だって読めます。
お子様への読み聞かせに使っていただけたら嬉しいです。そして、このお話を読んでくれる多くの子ども達の学びにつながればいいなと思います。
そうすることで、天国のトメ子さんと重夫さんもきっと喜ばれるだろうと思うからです。
このお話は、もともと誰にも知られることなく、歴史の中にうずもれたはずであろうお話でした。事実、トメ子さんの行なった行動を知っているご家族様は、長い間口外することを控えておられました。
月日が流れ、戦争に対する考え方も、人の価値観も、生活様式も当時とは大きく異なった現代。トメ子さんのご親戚の重夫さんが、新聞に投書をしたことによって、このお話が日の目を見ることになります。
一般の人々の生活の窮状を訴え、戦争をやめるように天皇に直訴する行為は、当時、命がけの行動であったはずです。それを皆のためを思い、トメ子さんは行ないました。彼女の正義感や勇気を我々は忘れてはいけないと思います。
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